職場のパワハラ上司に悩む人は非常に多いです。もしかしたら、社会人だからと意見できず、ただひどくなる一方の上司のパワハラに頭を抱えているのではないでしょうか?
今回は、そんなパワハラ上司に対して、どれに相談すればいいのか?どんな対策をすればいいのかを解説します。
そもそもパワハラって何?
パワーハラスメント…の略がパワハラですが、そもそもパワハラとはどんなものを指すのでしょうか。
人事労務用語辞典によるとパワハラとは「職場の上司など権限を持つ者が、立場の弱い部下などに対して、力にものを言わせて無理難題を強要したり、私生活へ介入したり、ときには人権の侵害にあたるような嫌がらせを繰り返し行うことを言います。」
(出典 人事労務用語辞典)
パワハラには、いくつかの累計があります。詳しい定義は、厚生労働省の「パワーハラスメント対策導入マニュアル 予防から事後対応までサポートガイド(第2版)」で定められており6つの行為に分類されています。
身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係の切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害
です。
身体的な攻撃とは暴力のこと、精神的な攻撃は暴言や脅迫、侮辱などです。人間関係の切り離しとは、無視や仲間外れを指します。
そして、過大な要求とは不可能なことを指示すること、過小な要求とは仕事を与えずに放置することです。個の侵害とは、プライベートなことを聞いたり詮索したりすること…どれも見ただけで嫌な感じですよね。
このようなパワハラは、決して珍しいものではなくどのような職場でも起こり得るものなのです。
分類では、精神的攻撃が最も多く報告されているパワハラの55.8%を締めています。精神的の攻撃の次に多いのが、28.7%を締める過大な要求となっています。
大人ですから、暴力をふるうという肉体的な攻撃は少なく精神的に追い詰めたり嫌がらせをしたりするパワハラが多くなっているのかもしれません。
パワハラは悪なのか?訴えることはできる?訴えたらどうなる?
パワハラに対処するためには、パワハラが法律的にどのように扱われているのかを知っておく必要があります。
パワハラは決して許されない行為ですが、日本にはパワハラを禁止する法律は現在のところありません。パワハラは、現行刑法でいえば刑法第230条名誉毀損罪、刑法第231条侮辱罪、刑法第208条暴行罪、傷害の程度によっては204条の傷害罪に該当する可能性があります。
そして、民法では民法第709条不法行為による損害賠償請求や精神的苦痛に対する慰謝料を請求できることになります。
直接的にパワハラを禁止する法律はありませんか、パワハラは刑法上の犯罪行為になる可能性がある重大な行為なのです。
立証が難しいといわれるパワハラですが、証拠をしっかりと揃えておけば法的に加害者と戦うことができるのです。
パワハラ上司を訴える人は、実際にパワハラ被害にあっている人の中では少数派。そして、訴えることはお勧めな方法とは言えないと筆者は考えます。
それは…パワハラ上司を訴えることはアナタにとって時間と労力のムダだからです。若いアナタが、パワハラしてくるしょぼいおっさんに固執して無駄な時間を浪費するよりは、自らの幸せ・キャリアのことを最優先に考えるべきだからです。
それでも、パワハラに関する法律周りの知識は入れて置いた方が良いです。知識を入れておくことが、パワハラ上司に抵抗できなかった自分を変える第一歩と偉大な一歩となるのです。
パワハラ上司の特徴と心理について
続いてはパワハラ上司の特徴・心理についてみていきましょう。パワハラ上司も同じ人間。そして、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」。
上司が今どういう状況でどういう理由からアナタにパワハラをしているのか?を把握しましょう。
そして、思い当たる項目があり、それを改善できそうならば是非改善に取り組んでみてください。
仕事上のストレスを抱えている
上司自身が、仕事上のストレスを抱えていて、その発散手段の一つとしてパワハラという流れになっていることはよくあります。…という旨の記事を。
パワハラ上司の肩を持つわけではありませんが、なぜそもそもパワハラをしているのか…を考えることも問題の解決の役に立つことがあります。
社会人であれば、パワハラは問題があることをある程度は分かっているはず…それをあえてしてる上司はただ性格が悪いだけなのでしょうか。
もちろん、そういうケースもあるかもしれません。ですが、上司もストレスを抱えて依頼していて部下に八つ当たりをしているということも考えられます。
もちろん、どんな理由があってもパワハラは許されるものではありませんし、ましてや自分のより立場が弱い部下にパワハラをするなんてとんでもないことです。
ですが、もし上司のパワハラの原因が仕事上のストレスなら…もしかするとあなたにパワハラをしている上司もさらに上の上司からパワハラを受けているかもしれません。
どのような場合でも、原因を見極めることは大切ですから、少し観察してみるのもいいのではないでしょうか。
元々そういう人。
今まで生きてきて、いじめのようなものを全く目にしたことがないという人はまずいないでしょう。
人の中には一定数そういう人が存在します。今の上司がただ単にそういう人であるということも…。
その場合、アナタ自身がパワハラされにくい人になるという対処方法はありますが、上司そのものについて思い悩むことは無駄と言えます。
アナタ自身がイライラされることが多い。
仕事のスピードが周りと比べて遅い、言動がはっきりしない、声が小さい等々周囲をイラっとさせる要素がアナタ自身にある場合も。
思い当たるふしがあり、改善できそうなものは改善するように心がけてみてください。
周囲にイライラされることが多いというアナタの性分がどうしようもないこともあるでしょう。
しかし、だからと言って、パワハラしていいという理由にはなりません。
人には得手不得手があります。今の職場、仕事にこだわらずに広い視野を持って自分の将来を考えれば、アナタにとっての幸せな未来への道筋はおのずと見えてきます。
アナタが気分良く活躍できる場は必ず存在します。気楽になりましょう。
抵抗しないからエスカレートする。
はじめのうちはまだ我慢してもいいレベルだったパワハラがどんどんエスカレートしていくというケースがあります。
パワハラがエスカレートする理由は様々ですが、その理由のひとつとして「抵抗しないからよりエスカレートする」というパターンがあります。
これはもう、子供のいじめがエスカレートするのと同じようなもので、社会人としても人としてもあってはいけないことですが、現実として抵抗しないともっとパワハラがひどくなるという体験をした方もいらっしゃいます。
会社に勤めて5年目のAさんは、配置転換をきっかけに上司からパワハラを受けるようになりました。最初は自分だけ部内の他の人と違う雑務を任せられたりするというものでした。
Aさんは「この程度なら」と我慢したのです。すると、パワハラはどんどんエスカレートして、忘年会や新年会、歓迎会にも呼ばれず、ランチにも誘われず…そしてとうとう部内で無視されるようになったのです。
パワハラを耐えかねたAさんは、人事に相談しました。すると、Aさんにパワハラをしていた上司から人事部が聞き取り調査をしてパワハラをあっさり認めたというのです。
その驚きの理由は「Aさんの彼氏から昔振られたことがあってやっかんでいる」という驚愕の事実でした。人事部の計らいでその上司は出向となり、部内の他のメンバーから謝罪されたそうです。
このように、どんなことがパワハラの原因になるかはわからないものです。上司のパワハラに同僚や後輩が乗ってしまうこともあるのです。
黙って我慢したことでエスカレートしたパワハラでしたが、適切に対応することでAさんは理不尽なパワハラから脱出することができたのです。
上司にパワハラされないために、改善するために…アナタが出来ること。
会社が全て、上司が全てだと思わない
会社と家の往復を繰り返し、会社関係者以外との交流が乏しい状態になると、会社での人間関係が全て、上司が全てといった精神状態に陥ってしまうことがあります。
そうなってしまうと、上司のいうことに、盲目的にイエスとしか言えない状態になり、そのような状態になると、たちの悪い上司だと、そういったイエスマンな部下をいじりだします。
その流れが、アナタがパワハラを受ける流れへとつながっていきます。
ですから、会社が全て、上司が全てであるという風に思い込んでしまわないように対策することが大事です。
外の世界に目を向けてみよう。
上司からのパワハラが辛い…仕事を辞めてしまいたいけれどそうはいかないし、相談できる人もいない…。というつらい状況に陥ったときには、気分転換をしましょう。
会社という狭い世界だけでなく、外の世界に目を向けることで気分転換をすることができますし、新しい人間関係を築くことが心の支えになることもあります。
趣味のサークルや教室、スポーツクラブや地域の集まりなど、会社以外の外の世界との交流を持つチャンスはたくさんあります。
いろいろな人と関わることで心が癒されますし、たくさんの人と関わることでもしかすると問題を解決する糸口が見つかるかもしれません。
会社以外にも自分の居場所がある…と思うだけでも心が癒されるものです。理不尽なパワハラに耐えなければいけないというストレスを発散することはとても大切です。
辛い時こそ、自分だけの世界に閉じこもらずにも外の世界との交流を持つようにしましょう。
上司に軽く見られてはいけない。
パワハラ上司がなぜあなたをターゲットにするのでしょうか。もしかするとその上司にとってあなたはパワハラしやすい存在なのかもしれません。
イエスマンや可愛いだけの部下になっていませんか?たちの悪い上司は、自分より弱いものに攻撃を仕掛けてきます。
つまり、ありていな言い方をすると舐められるとターゲットになりやすいのです。パワハラの被害を受けないためには舐められないように時には毅然とした態度で接することも必要なのです。
上司に逆らったって死ぬことはない。逆らってもいい。
パワハラが辛いときには、ある種の開き直りも必要です。じっと我慢していてもパワハラが収まる可能性は残念ながら低いと言わざるを得ません。
我慢してしてればやめてくれるのなら、そもそも初めからパワハラなどしないのです。
上司だからといって、あなたが逆らってはいけないわけではありません。上司だろうとなんだろうとダメなものはダメなのです。
会社というミニ社会の中での出世や昇給を巡る生存競争の中で、上司に逆らうのは難しいことですが、パワハラ上司に従っていても輝かしい未来があるとは思えませんよね。
開き直っておかしいものはおかしいという勇気も時には必要です。
パワハラされなそうな人のイメージを少しづつ再現を試みてみよう。
なぜか上司に対し、主導権を握っているような部下っていますよね。ドラマなんかでも良くありがちですが…。
そういった人をイメージし、アナタも少しでもそういったキャラに近づけるように…もしくは吸収できるエッセンスがあれば吸収するように努めてみましょう。
更に上の上司に相談する
パワハラが酷いときには、上司のさらに上の上司に相談するという方法があります。
社内の力関係や交友関係に配慮する必要はありますが、パワハラ上司は自分より強いものには弱いというケースも少なくありません。
上司のさらに上司に話をするわけですから、場合によってはあなたの立場がより悪くなるということも考えられます。
パワハラ上司が根回しをしたり嘘をついたりした場合…などがこれに当たります。
ですが、黙っていても改善しないのであれば、事を公にする以外の方法はありません。
会社という組織として考えたときに、パワハラは放置しておけない問題となります。上司のさらに上の上司に相談して仮にあなたの立場が危うくなったとしても、それを見ている人がどこかにいる可能性もあるのです。
だれにいつ、どうやって相談するか…を吟味することで、リスクを最小限にすることができます。
学生時代(社外)の先輩・友達に相談に乗ってもらう
パワハラに悩んでいる時は、家族や同僚には相談しにくいですよね。同僚は会社という組織の内部の人間ですから、リスクがあります。
そして、家族は経済的なつながりが強いので、パワハラを受けているというディープな内容はなかなか相談できませんよね。
そんなときに相談に乗ってもらう相手としてオススメなのが、社外の学生時代の先輩や友人です。若いころからの繋がりがあるので、気心もしれていますし、あなたという人をよく知っている人物といえます。
学生時代の思い出話などを交えながら相談することで気分転換にもなりますし、適切なアドバイスをしてくれることもあるでしょう。
それに、同じ世代の人間に話をすることで、共感しつつ自分をより冷静に見ることができるようになるかもしれません。
公的な専門機関に相談する
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/chihou/kaiketu/soudan.html
パワハラなどの相談は、公的機関でも受け付けています。
公的機関の場合は、具体的な解決策などが提示されることもあるので、心強いあなたの味方になってくれます。
各都道府県労働局や労働基準監督署内に設けられている、総合労働相談コーナーなら予約不要ですし、無料で相談に乗ってくれます。労働に関するプロが話を聞いてくれるという安心感がありますし、もちろん外部に漏れる心配もありません。
アナタの居場所は他にもあることを知ろう。
仕事、職種は無数にあります。一人で何かに向き合うような職人さんの世界だってあります。キチンと安全運転し続けるスキルが求められるドライバーという仕事もあります。
人付き合いが苦手な人が別の特性・特技で輝ける仕事は無数にあることを知りましょう。
転職エージェントに登録。
根本的な解決策という意味ではこれが一番といえるでしょう。
パワハラされて反抗・抵抗できないのは、今の仕事・職を失う恐怖を過剰に抱いてしまっているのが最も大きな原因です。
パワハラ上司についてまとめ
まず、パワハラがどういうものか?そして法律的にどういう風に扱われているかを知ること。その上で、アナタのパワハラ上司がパワハラをするバックヤードを探ってみましょう。
そこまでわかれば、後は、対策を実践するだけです。
パワハラの性質は、学生時代のいじめに似ています。学生時代のいじめには抵抗してこれたけど社会人で上司に逆らうわけにはいかないし…と八方ふさがりになっているかもしれません。
逆らってもいいのです。意見してもいいのです。子供でも大人でも人間の嫌らしい部分は変わることがないのだと理解し、自己防衛を施さなければいけません。
とはいえ、今の職場でパワハラを改善できなくても、今の職場以外にアナタには生きていける道は無数にあります。
今の職場だけで考えすぎないこと、職場以外のことを知り、視野を広げることが大事です。
コメント