酵素とは?どんな成分?
酵素とは、動物や植物が生きながらえていくのに必要な栄養素のことで、消化と代謝に関わっています。
血液をサラサラにすると言われる納豆に含まれるナットウキナーゼや、ダイコンに含まれる胃腸の調子を整えるジアスターゼ(アミラーゼ)は、よく耳にする酵素です。
何となく体によさそうなイメージの酵素ですが、効率よく酵素を摂取するにはいったい何を食べ、どんな生活を送ればよいのでしょうか?
酵素をコンスタントに摂ると、ダイエットやアンチエイジング効果があるとか、ガン予防になるなど様々な情報が溢れていますが、本当のところはどうなのでしょうか。
酵素を知ろう
酵素は呼吸や代謝、食物の消化吸収、血液の循環、運動などのすべての生命活動にかかわっています。
しかし、毎日の食生活で、意識してして酵素を含む食材を摂っている人は少ないのではないでしょうか。
酵素にはもともと体の中にある「潜在酵素」と食べもので摂取する「食物酵素」があり、潜在酵素は、生命活動にかかわる「代謝酵素」と食物を消化する「消化酵素」に分かれています。
食べ物でしっかり酵素を摂取しないと、何となく体調が悪いといった不調が続くことがありますが、これは免疫力が落ちているからです。
酵素イコール免疫力とも言えますが、免疫機能の約7割が腸に存在しています。
酵素不足が続くと、腸は悪玉菌だらけになってしまうわけです。酵素をしっかり摂取することで腸内の善玉菌が増え、免疫力が増し病気にかかりにくい体になります。
体内で作られる酵素は、30代を境に減少しはじめ、50代でピーク時の半分となってしまいます。
年齢を重ねるごとに意識して酵素を食事で補う必要があるわけですが、毎日の食事がコンビニの弁当やファスト食、白砂糖たっぷりの菓子パンだったりすると、少しくらい生野菜を食べただけでは追いつかなくなってしまいます。
酵素が不足すると体調不良を招くだけでなく、老化の原因になってしまいます。シワやシミに悩ませられるのも、酵素不足が原因と言えます。
それぞれの酵素の働きを知って、自分の体が今どんな酵素を必要としているのかを知り、効率よく酵素を摂取することが大事です。
酵素を多く含む野菜や果物
酵素はどのような食材に含まれているのでしょうか?
野菜ではトマト、キャベツ、キュウリ、人参、大根、パセリ、タマネギ、ネギ、ピーマン、パプリカ、ラディッシュ、シソ、オクラ、カブ、ショウガ、ニガウリ、小松菜、ホウレンソウ、春菊、白菜、サラダ菜、レタス 、セロリ、ミョウガ、スプラウト、ヤマイモなどです。
果物では、リンゴ、ミカン、バナナ、イチゴ、モモ、グレープフルーツ、キウイ、ナシ、オレンジ、スイカ、アボカド、ブドウ、ビワ、梅、イチジク、マンゴー、パイナップル、青パパイヤなどです。
酵素を多く含む調味料やその他の食品
調味料では味噌、醤油、みりん、酢、塩こうじなどで、飲み物では日本酒、焼酎、ワイン、ビール、甘酒などです。
その他には納豆、ヨーグルト、キムチ、ピクルス、マリネ、ぬか漬け、塩から、サラミ、かつお節、アンチョビ、ヨーグルト、チーズ、メンマ、ナタデココなどです。
※酵素は熱に弱いので、生で摂らないと思ったほど摂取できません。
ダイエットや美肌を目指している女性は、生野菜や生果実を使ったジュースを摂ろう!
効果的に生ジュースを摂ると、ダイエット効果とともに高級コスメ並みの美肌効果が得られると言われています。
1、朝起きて胃が空っぽの時に生ジュースを飲む。胃に消化されていないものが残っていると生ジュースの効果が半減してしまいます。また、48℃以上になると酵素は壊れてしまうので加熱は禁物です。
2、生ジュースは時間が立つと酸化するので、作ったらすぐ飲みましょう。
3、昼間は酵素が働く時間帯のため、昼食は好きなものを食べてもOKです。
4、夕食は8時までにすますのが理想ですが、遅くなる場合は発酵食品などを含むおかずを軽めに摂るようにしましょう。
5、酵素食や酵素ジュースが摂れない日は市販の100%ジュースを飲んだり、サプリメントで補うなど、ストレスを感じない方法で酵素を摂り入れるようにしましょう。
酵素不足が肥満の原因!?
酵素には代謝機能があるため、慢性的に酵素が不足すると脂肪がつきやすい体になってしまいます。
人が1日に必要な酵素の量は野菜でいえば約400g前後ですが、加熱すると酵素は半減するので、例えばニンジンを煮て食べるなら5本ぐらい毎日食べなければならないわけです。
もちろん他にも酵素を含む食材を摂ればそんなに食べる必要はありませんが、外食に偏りがちな人は意識して摂取しなければ、酵素不足になる恐れがあります。
「外食は太る」と言われるのは酵素が足りていないからです。
朝はパンとコーヒー、昼は丼物、夜は唐揚げとビールといった食生活が続くと、酵素不足による肥満から生活習慣病へとまっしぐらのコースをたどってしまいます。
酵素は生の食材に多く含まれ、体内で消化を助ける働きをしますが、酵素を含む食材によって役割が違ってきます。
例えば、でんぷんを分解する酵素は「アミラーゼ」ですが、アミラーゼはでんぷんを分解しています。体のエネルギー源となる糖を作る酵素です。
この酵素は胃腸の働きを高め、食べ過ぎや飲みすぎなどで胃が持たれたとき、消化不良を助ける役割を果たします。大根やバナナ、キャベツなどに多く含まれます。
たんぱく質を分解する酵素は食材によって働きが違ってきます。
パイナップルに含まれるブロメラインは肉を柔らかくする作用があり、キウイが持つアクチニジンは、整腸作用に優れ消化促進の効果があります。
また、パパイヤに含まれるパパインは、筋肉にたまった乳酸の分解を促進し、体脂肪の蓄積を防ぐ働きがあります。
脂肪分解酵素「リパーゼ」は、脂肪を分解し、筋肉のエネルギー源となる脂肪酸やグリセロールなどを作る酵素です。
食べ物からリパーゼを補うと脂肪の分解を助け、胃腸、肝臓、脾臓などの臓器の負担を軽減してくれます。
また、必要に応じて内臓脂肪や皮下脂肪を燃焼させる働きもありダイエットには欠かせない酵素です。
日本古来の食品である味噌や納豆、発酵バターなどの発酵食にも多く含まれます。
それぞれの食材が持つ酵素と効果
パイナップル
たんぱく質分解酵素のブロメラインが胃腸の負担を軽くします。
キウイ
たんぱく質分解酵素アクニジンを含み、脂質や糖質の吸収を遅らせる働きがあります。
バナナ
でんぷん分解酵素のアミラーゼのほか、代謝を上げるビタミンB1も含まれます。
メロン
たんぱく質分解酵素のククミシンや、むくみを改善するカリウムが豊富です。
アボカド
脂肪を分解する酵素リパーゼのほか、必須脂肪酸が多く含まれています。
ビタミンEは老化防止にも効果的です。
リンゴ
各種ビタミン、ミネラルや食物繊維のペクチンがたっぷり含まれ、腸内環境を整える働きがあります。
柑橘類
抗酸化作用のあるビタミンCが多く含まれます。
ダイコン
でんぷんの分解を促進する消化酵素ジアスターゼを含みます。
胃腸の調子を整える野菜の代表格です。
ニンジン
活性酸素を抑制する働きのβカロテンは野菜の中でもトップです。
小松菜
酵素の働きを助けるビタミンやミネラル、カルシウムを豊富に含みます。
発酵食材
味噌や醤油、納豆、塩こうじなどにみられるように、発酵食品には特有の旨味や風味があります。
発酵食材の特徴として、食材を発酵させる微生物がたんぱく質を分解することによって、食べ物の旨味がアップするほかに食材が分解されることによって新たな栄養素が生まれ、本来の食材よりも体への効能が期待できます。
その他にも、食材が発酵するときに発生する微生物の働きによって、食材を腐敗させる原因となる悪玉菌の増殖が抑制され、長期間保存することができます。
酵素の摂取がストレスにならないために
酵素は、消化吸収に役立つだけでなく、生きていくための全ての代謝活動に関係しています。
人の体内酵素には限りがあるため、日々食材から消化酵素を摂取する必要があります。
常に新鮮な生の果物や野菜や発酵食品を、なるべく加熱しないで摂る必要があるのです。
しかし、仕事や家事に何かと忙しい現代人は食事のことばかり考えているわけにもいきません。
また、酵素はそれぞれ役目が違うため、恩恵にあやかろうと思うなら何種類もの酵素を含む食品を食べなければなりません。
「食物から様々な酵素を摂取しなければならない」と日々献立を考えるだけでもストレスになってしまいます。
酵素とは固有名称では無い?
酵素は細胞内で作られ、体内の化学反応や代謝のなかだちをするたんぱく質です。
そのため、酵素がその食材100gあたりにいくら含まれているかといった数字では端的に表すことができません。
酵素は、炭水化物、脂肪、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの五大栄養素のように、
例えばたんぱく質が100g当たり一番多く含まれるのは鶏肉で、二番目が豚肉といった比較ができない存在といえます。
食品それぞれに違う酵素が含まれており、様々な酵素を含む食材を多種類摂取することで、病気の治癒を早めたり、老化を遅らせたりすることができるのです。
食物酵素は実に3,000種以上もあり、それぞれ独自の酵素を含んでいます。
摂取したでんぷんをブドウ糖に分解するアミラーゼ、脂肪を分解するリパーゼ、たんぱく質を分解するプロテアーゼなどが知られています。
今までの食生活を振り返って、肉食傾向にある人はたんぱく質を分解する酵素を含むパイナップルを摂るようにしたり、炭水化物を好んで食べていた人はでんぷんを分解する酵素を含む大根やバナナを摂ると、効率よく自分に必要な酵素が摂取できます。
サプリメントから酵素を摂取する場合は?
サプリメントから酵素を摂取する場合はサプリメントにもよりますが、1日1粒から4粒で人に必要な様々な酵素が1度に摂取できます。
体内で作られる酵素は年齢とともに減っていくため、意識して食物やサプリメントで摂取しないと、疲れやすくなったり太りやすくなるなど、体調や体型に変化が表れます。
食物のみで様々な酵素を摂取するのが難しい場合は、無理をせずにサプリで補うのもひとつの方法です。
酵素を含む食材を使ったレシピ
大根と厚揚げとちくわの味噌バター煮
材料(2人分)
大根10㎝くらい、厚揚げ2個、ちくわ2本、味噌とバター各大さじ1杯
作り方
1、大根は皮をむき食べやすい大きさに切ります。
2、厚揚げとちくわも切り、水を少し加えて柔らかくなるまで煮ます。
3、大根がやわらかくなったら味噌とバターを加えて混ぜ合わせ、味をみて仕上げにしょう油を少し加えて味を調えます。
大根の皮と黒キクラゲのきんぴら
材料(2人分)
大根の皮適宜、乾燥黒キクラゲ3枚。
作り方(2人分)
1、大根の皮はせん切りにします。黒キクラゲはぬるま湯で戻して、せん切りにします。
2、フライパンにゴマ油を入れて炒め、だし醤油を少し加えます。好みで七味唐辛子をふります。
3、出来上がりです。
大根のせん切りとシラスの味つけポン酢あえ
材料(2人分)
大根10㎝くらい、シラス大さじ2杯、味つけポン酢大さじ1杯
作り方
1、大根をせん切りにします。
2、シラスを大さじ1杯、味つけポン酢少々であえます。
できあがりです。
納豆とろろの香味ぞえ
材料(1人分)
納豆1個、長いも2㎝くらい、青じそ2枚、オクラ1本、ミョウガ少々、
作り方
1、長いもはすりおろしておきます。青じそとミョウガ、オクラはせん切りにし、納豆は添付のタレを入れてかきまぜておきます。
2、すりおろした長いも、青じそ、ミョウガ、オクラをトッピングします。
でき上がりです。
ミックスビーンズ(蒸し豆)のポテトサラダ
材料(2人分)
市販のミックスビーンズ(蒸し豆)1袋、じゃが芋1個、マヨネーズ、塩コショウ適宜
作り方
1、じゃが芋はさいの目に切って電子レンジで柔らかくしておきます。
2、ミックスビーンズ(蒸し豆)とポテト、マヨネーズ、塩コショウで味をつけます。
でき上がりです。
蒸し黒豆とキャベツの味噌ミルクスープ
材料(2人分)
市販の蒸し黒豆1袋、キャベツの葉大2枚、タマネギ2分の1個、コンソメスープの素1個、牛乳1カップ、味噌、バター各大さじ1杯。
作り方
1、タマネギとキャベツは食べやすい大きさに切ります。
2、バターで炒め、しんなりしたら水1カップとコンソメスープの素、蒸し黒豆を加え、煮立ってきたら火を弱め、牛乳を入れて味見をし、味噌を加減します。
でき上がりです。
オイルサーデンと夏野菜のホイル焼き
材料(2人分)
オイルサーデン1缶、冷蔵庫にある残り野菜(ピーマン、タマネギ、ニンジン、トマト)など、あればローズマリー一枝、塩コショウ少々
作り方
1、好みの野菜を食べやすいように切ります。
2、アルミホイルの上に野菜を敷き、オイルサーデンを乗せ、ローズマリーを一枝乗せて軽く塩コショウしてアルミホイルで包みます。
3、フライパンに水をはり、包んだアルミホイルを入れて蒸し焼きにします。
でき上がりです。
ゴーヤとバナナのスムージー
材料(2人分)
ゴーヤ2分の1本、バナナ1本、牛乳カップ1杯
作り方
1、ゴーヤは種を取切っておきます。バナナは大きいものだと半分に切って使います。
2、ゴーヤ、バナナ、牛乳を全ミキサーに入れます。
でき上がりです。
バナナフリッター
材料(2人分)
完熟バナナ2本、薄力粉100g、牛乳少々、卵1個、油適宜
作り方
2、バナナは2cmくらいの厚めの輪切りにします。
3、薄力粉100g、牛乳所掌少々l、卵1個を混ぜ合わせ、バナナにつけて揚げます。
でき上がりです。
酵素を含む食品、酵素の多い食品とその効果についてまとめ
酵素は健康に欠かせない栄養素ですが、食べだめをすることができません。
「今日は野菜たっぷりの酵素食を摂ったから2、3日は野菜を食べなくても大丈夫だろう」と思ってしまいがちですが、そうはいかないようです。
毎日コンスタントに摂取してこそ、健康効果やダイエット効果、アンチエイジング効果を得ることができるのです。
食事で摂れない分は、酵素サプリなどで補いながら無理なく酵素を摂取してはいかがでしょうか。
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